2012年に上梓した『チャンピオンズリーグの20年』以来5年ぶりとなる書き下ろし書籍が完成、12月15日に河出書房新社から発売されます。タイトルは『それでも世界はサッカーとともに回り続ける:プラネット・フットボールの不都合な真実』。

21世紀に入って以降、ワールドカップとチャンピオンズリーグを頂点とするグローバルなエンターテインメントビジネスへと「進化」し、今なお現在進行形で変貌し続けるフットボール世界のありようを総合的に、できるだけわかりやすく整理しようと試みました。

『プラネット・フットボールの不都合な真実』というサブタイトルが示すように、必ずしも薔薇色な話ばかりではありませんが、サッカーが単なるスポーツの枠を超えて世界に影響を与え始め、また世界からも様々な形で揺さぶられている現実を、俯瞰的に一望できる内容になったと自負しています。

目次は以下の通り。これを見れば内容をざっくりと掴んでいただけるかと思います。

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プロローグ:「プラネット・フットボール」

第1章 FIFAゲートとワールドカップの未来
1-1 FIFAゲートの勃発
1-2 すべては2010年12月2日に始まった
1-3 なぜプラティニは失脚したのか
1-4 FIFA新会長インファンティーノ
1-5 拡大するワールドカップが担うもの
1-6 グローバル化の最先端はクラブサッカー

第2章 クラブ資本のグローバル化
2-1 ミランとインテル、中国資本の傘下に
2-2 EU外資本がグローバル化を加速する
2-3 北米資本はプレミアリーグとMLSの連合を夢見る
2-4 アブラモヴィッチとリボロフレフ
2-5 ガスプロムとゼニトが担うロシアのエネルギー政策
2-6 カタール、アブダビのソフトパワーを担うPSGとマンC
2-7 習近平が推進する国策としてのサッカー振興
2-8 蘇寧グループの野望

第3章 クラブ市場のグローバル化
3-1 R.マドリーは世界最強のスポーツエンタメ企業
3-2 メガクラブの競争を左右するグローバル市場
3-3 グローバル市場の鍵を握るテクニカルスポンサー
3-4 ブランド戦略でグローバル市場拡大を目指すユヴェントス
3-5 グローバルとローカルへの二極化

第4章 グローバル化の歪み:膨張する移籍市場と債券化するサッカー選手
4-1 移籍市場混迷の象徴としてのネイマール移籍トラブル
4-2 移籍市場から利益を吸い上げる「第三者」
4-3 投資ファンドの起源と広がり
4-4 代理陣ビジネスの変化:エージェントからブローカーへ
4-5 スーパー代理人ジョルジュ・メンデス
4-6 移籍市場そのもののグローバル化
4-7 もうひとつの歪み:オンラインベッティングと八百長

第5章 サポーターの現在と未来
5-1 ゴール裏の数千人とTVの前の数億人
5-2 ウルトラスと暴力、そして極右とのつながり
5-3 ゼニトとアスレティックビルバオ、2つの民族主義
5-4 プーチンに政治利用されるロシアのウルトラス

エピローグ

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すでにアマゾンなどオンライン書店では予約が可能。ぜひご一読ください!

By admin

片野道郎(ジャーナリスト・翻訳家) 1995年からイタリア在住。ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を拡げ、カルチョそして欧州サッカーの魅力をディープかつ多角的に伝えている。 最新作は『チャンピオンズリーグ・クロニクル』(河出書房新社)。他の著書に『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』(河出書房新社)、『モウリーニョの流儀』(河出書房新社)、『モダンサッカーの教科書』(共著、ソル・メディア)、『アンチェロッティの戦術ノート』(共著、河出書房新社)、『セットプレー最先端理論』(共著、ソル・メディア)、『増補完全版・監督ザッケローニの本質』(共著、光文社)、訳書に『アンチェロッティの完全戦術論』(河出書房新社)、『ロベルト・バッジョ自伝』(潮出版社)、『シベリアの掟』(東邦出版)、『NAKATA』(朝日文庫)など多数。